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不妊の壁を鍼灸で突破する4つのポイント

当院の女性不妊に対する鍼灸施術は,月経周期に沿ったスケジュールを立てて施術しております。と、同時にすでに病院の治療を開始されている方に対しても通院のスケジュールに沿った施術プランをご提供しています。
自然妊娠を試みている方,タイミング法や人工授精AIHをされている方,あるいは体外受精の方などそれぞれ施術のすすめかたが異なるのですが,共通するポイントがありますのでここではその4つのポイントについてお話しします。

いちばん鍼をしておきたい生理3日目

すでに病院での治療をはじめている方なら,生理の3日目の頃に採血をして女性ホルモンの値を調べた経験があるのではないかと思います。

この時からだの中ではこんなことが起きています。
 
女性の生理周期と妊娠は頭の中の脳が関係しています。その大脳にぶら下がるようについている脳下垂体というところからスタートします。
ここから卵巣を刺激するホルモンが分泌されます。卵巣刺激ホルモンFSHと呼ばれるものです。このFSHの刺激によって卵巣内にある卵胞が最終成熟をはじめます。順調に成熟されていればFSHの値は一けた後半から10くらいまでの値を示すはずです。ところが卵巣内の卵胞の成熟度合がおもわしくないと,もっともっと刺激をしなければいけないとおもってしまいFSHの値が高くなってきます。15を超えると卵巣機能が低下していると判断されることもあり,この周期での治療は見送られるケースもあります。
 
生理3~5日目の施術は,
まず全身の滞りを解消してあげて体内の循環を善くしてあげること。これは前の周期の古いもの(子宮にため込んだ血液や内膜)を吐き出す生理中であるためです。
つぎに全身の疲れやこりをほぐすことでリラックスさせてあげること。肉体にかかる負荷は脳へ与えるストレスにつながります。先に述べたように脳下垂体から分泌されるFSHの働きに対する卵巣の反応をよくするためにも,妊娠とはあまり関係ないようにも感じられるリラクゼーションも必要です。

じっくり仕上げたい低温期

生理があけると排卵日に向けて,卵胞と子宮内膜が最終成長しはじめます。はやい話が最後の仕上げ段階です。
卵胞が最後の成長をはじめると同時に卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌がおこります。このエストロゲンの値を調べることによって卵胞の成熟具合を知ることができます。
この分泌されたエストロゲンの働きに子宮内膜の増殖があります。ということは,卵胞の成熟と子宮内膜の成長はほぼ同時進行でありお互いに深い関連性があるのです。
 
低温期の施術は,
月経周期のなかでもっとも充実した状態にもっていかなくてはなりません。Bestな全身状態から,エネルギーや栄養が卵巣に送られ集約されます。よいものすべてが凝縮された卵子ならきっと素晴らしい結果につながるとじゅうぶん期待できます。

  • タイミング法や人工授精AIHでは卵胞と子宮内膜の成長に
  • 体外受精の採卵周期ではより良い卵子を採るために
  • 移植周期ではふかふかの子宮内膜をつくる

この3つは違うように思えますが,言い方が異なるだけで実はおなじことを話しています。
とても重要なことが詰まっているので,低温期に鍼灸を含めてどれだけ濃厚なことができるかで妊活の成果にかかってきます。
 
※エストロゲンは低い値から徐々に上がっていくのですが,生理3日目の血液検査で50以上あると前の周期に中途半端に育ってしまった遺残卵胞があることが考えられます。残卵があると本命である主席卵胞の成長の妨げになることがあるので,治療を継続するかその周期はお休みしてリセットするか判断することがあります。

タイミングを合わせる排卵期

卵胞の成熟とともに徐々に数値が上昇してくるエストロゲンが,200以上の値が2日間続くと脳下垂体から今度は黄体化ホルモンLHの濃度が急激に高まります。LHサージという現象が起こり,卵巣にむけて排卵を促すようになります。排卵検査薬はこのLHサージを調べているのです。
このとき女性のからだの変化には,おりものの分泌が盛んになります。エストロゲンの働きによるものです。おりものにのって膣内に射精された精子が遡上していきます。したがっておりものの量の変化を観察することは,お子さんを授かることにとってとても重要なことの一つです。
やがてLHの刺激によって卵胞や卵巣の壁を破るように卵子が排卵されてきます。おりものにのって遡上してきた精子と出会って受精が成立します。
LHのもう一つの役割は排卵後の卵胞のからを黄体に変化させ,黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌させることです。
 
排卵期の施術は,
全身の滞りをできる限りなくすことで,体内の気機をよくしてスムーズなLHの上昇と排卵を促してあげます。
LHのスムーズな分泌をさせてあげるために,全身を調整してあげてできる限りストレスフリーにして脳への負荷を軽減してあげます。物体を動かすにはエネルギーが必要です。そのエネルギーが滞っていては動かすことができません。卵子も物体ですから同じことがいえます。鍼の刺激によって受精までの複雑なプロセスを円滑にすすめてあげます。
 
※排卵期の施術で気をつけていることは,鍼の刺激によって
  ・タイミングやAIHの前に排卵させてしまうこと
  ・採卵前に排卵させてしまうこと
の2つを私はいつも気をつけることにしています。確かではないのですがこれまでの経験上,ごくわずかなケースですが疑いたくなるようなことがありました。
したがって排卵期の施術は,排卵日をしっかり把握したうえで
  ○タイミングやAIHの直後にできるだけすぐする
  ○採卵周期の排卵期での施術は採卵直後にする
ようにしています。

妊娠を成立させるため着床するときに

無事に精子と卵子が出会うと,排卵日から数えて5~7日後に子宮へたどり着いて着床の態勢に入ります。体外受精では胚盤胞を移植するころです。
この頃の子宮の中は,内膜がふかふかの状態になり暖かな赤ちゃんのお部屋に変身しています。いや,そうなっていなくてはなりません。大切な受精卵をむかえいれるのですから。
無事にたどり着いてくれれば受精卵を包む外側の膜を破って,ふ化し子宮内膜の中にもぐり込んでいきます。着床です。
受精卵が着床するとすぐに胎盤が形成されはじめます。と同時に,hcgというホルモンが分泌されます。
 
着床での施術は
 ○タイミングやAIHでは排卵日から数えて5~7日後
 ○分割胚移植では移植当日と,その3日後くらいの2回
 ○胚盤胞移植では移植の2日前くらいと,移植直後の2回

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